南部鉄器を一生使うために

南部鉄器は、正しく扱えば世代を超えて使い続けることができる道具です。
 職人が仕上げた状態で完成するのではなく、使い手の時間によって完成へと近づいていく。
 このガイドは、そのための最低限の約束事をまとめたものです。

難しい作業はありません。
必要なのは、いくつかの「しないこと」と、日々の自然な使い方だけです。

 

1. 使い始めに行うこと(慣らし)

新しい鉄瓶を迎えたら、最初に一度だけ、内部を整えるための準備を行います。
まず、内部を水で軽くすすぎます。
次に、鉄瓶の七分目まで水を入れ、火にかけて沸騰させます。
沸騰したらそのお湯を捨て、この作業を二〜三回繰り返してください。
これにより、内部の状態が落ち着き、日常使用の準備が整います。

 

2. 日常で守る基本

南部鉄器にとって、最良のお手入れは「使い続けること」です。
使用後は、必ず内部を空にしてください。
鉄瓶が温かいうちに蓋を外し、余熱で内部の水分を自然に蒸発させます。
部には触れないでください。
洗剤やブラシを使った洗浄は不要です。内部は時間とともに自然な保護層に守られていきます。
外側は、必要に応じて固く絞った布で軽く拭くだけで十分です。
 熱が残っている状態で行うと、漆の表情が徐々に深まっていきます。

 

3. 「湯垢(ゆあか)」を育てる

使い続けるうちに、内部に白く薄い膜が現れます。
これは水に含まれるミネラル分が結晶化したもので、「湯垢」と呼ばれます。
湯垢は、内部を保護し、湯の口当たりを穏やかにする役割を果たします。
取り除く必要はありません。
むしろ、この層が安定することで、鉄瓶は道具として落ち着いていきます。
南部鉄器は「持ち主が育てる道具」と言われます。
湯垢は、その時間の積み重ねそのものです。

 

4. サビとの向き合い方

南部鉄器において、サビは避けるべき失敗ではありません。
適切に付き合う対象です。
使い始めの頃、内部に赤い点状の変化が見られることがあります。
お湯が透明であれば、問題はありません。そのまま使用を続けてください。
もし、お湯が濁ったり、金気を強く感じる場合は、一度使用を止め、茶葉や茶殻を煮出すなどの方法で状態を整えることがあります。
判断に迷う場合や、状態が気になる場合は、無理に対処せず、カスタマーサポートへご相談ください。

長く使うために
南部鉄器は、管理する道具ではなく、共に時間を過ごす道具です。
 正しく使い、過剰に手を入れないこと。
それが、一生使い続けるための最も確かな方法です。

 

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